癌と戦う覚悟を決めた日

病院で検査を受けました。その時はまさか自分の身体が病魔に襲われているなんて夢にも思わなかったですし、病院で薬さえ貰えば治るだろう!そんな気持ちでいました。今思えばそう言い聞かせていたのかもしれません。
検査台に乗り、カーテン越しに話したお医者さんとの会話は今でも鮮明に覚えています。
医者「あなたお子さんいらっしゃる?」
私「はい、ひとりいます。」
医者「だったら子宮全部取った方がいいかもしれないなぁ。」
私「え?どうゆうことですか?」
医者「はっきり言いますよ。進行性の子宮頸がんです。」
私「がん.........?」

え、まって。癌の告知ってこんなにもサラッとするもんなの??と拍子抜け。
だって、ドラマや映画では画像とか見ながら家族も一緒に説明を受ける感じでしょう?
先生の顔も見えないカーテン越しって、、
と、そんな事を思ったかどうかは既に頭真っ白な私にはもうどうでもよくて、息子を置いて死ぬなんて有り得ない!ステージ3とは?全部で何ステージあるの??と、とにかく頭はパニックでした。
「絶対死にたくない。息子は置いてけない。」
「戦うしかない」
それが私が“癌と戦う覚悟を決めた日”
でした。
メンタル崩壊

数回に渡る精密検査、MRI、CTスキャン。手術に備え、輸血の為にと何度も針を刺され毎回少しづつ貯めた合計2リットル程の血液。
毎日が苦痛でしかありませんでした。
なんで私なの…身も心もズタボロでした。
癌になって気付いた自分の弱さと無力さ。
今までは自由に生きてきた人生でしたが、私って意外と弱虫なんだな…
21歳で妊娠、結婚。そして22歳で出産。
同世代の子より一足先に大きな経験を果たしていた私は、勝手に“自分は強くて逞しい”と思い込んでいたんですね。特に出産の経験が私の心に大きな影響を与えていたのは間違いありません。
妊娠中はママ友が居るわけでもなく、割と孤独な妊婦生活でした。それでも出産という大仕事を乗り越え、若くして結婚、そしてシングルマザーとなり、比較的メンタルは強い方だと思い込んでいたんです。
しかし状況は一変。
「死ぬかもしれない」の初めての感覚に恐怖心が拭えず、毎晩隣で眠る息子の横で声を潜め泣いて過ごしていたことを思い出します。
傍で支えてくれた家族にも「私の気持ちなんて分かるわけない!」と八つ当たりした事もありました。

手術当日、母が手術室まで見送りに来てくれました。手術室までの廊下が今までの自分の人生を振り返るように短くもとても長く感じたんです。
心配そうな母を尻目に「行ってくるね」と気丈に振る舞う事でなんとか平常心を保っていられましたが、手術台に乗った瞬間、口から心臓が飛び出るかと思う程に大きな恐怖心と緊張感が体中をグルグル駆け巡ったのを今でもよく覚えています。
当時27歳。

ぼんやりと、
(もう子供は産めなくなるんだ、、さよなら私の子宮さん…)
癌を乗り越え、変り始めた意識
8時間以上もかかった手術を無事に終え、目が覚めた時はもう病室で、先生が私に一言声をかけてくださいました。
「よく頑張りましたね、転移もなく子宮は一部ですがちゃんと残せましたよ。良かったね」
その時、動くことも声を出すことも出来ませんでしたが、子宮がある…うんうんうん…
と僅かに頷きながら涙が溢れた事を覚えています。
当時27歳とまだ若かったので、子宮が無くなる事への恐怖心が一気に解放された瞬間でした。

そして体力回復までの入院生活は比較的経過も良好で、予定よりも少し早めに退院することが出来ました。
ちょうど息子6歳の誕生日。家族揃ってお祝いできた事が本当に幸せでいっぱいの瞬間でした^^
そして私は思います。これからもこうして息子の成長をずっと見守っていきたい!その為には健康でいなければいけない。また癌が再発しては困る!そんな思いからある事に興味を持つようになるんですね。
それは“食”
です。
食事の大切さや、健康管理をしていく上で欠かせない栄養のバランス。
これまでも料理は嫌いではありませんでしたが、食を仕事にする意識は全くありませんでした。
episode3に続く………